2017年03月06日

君の瞳に映る世界は・・・(小説・改)

【序章】

 ぎりり、ぎりりと音が鳴っていた。
 音が徐々に近づいてくる。
 目を開けようとした。
 けれど、できなかった。
 身体を上から圧(お)されている。そんな感じだ。
 目を開かなくては。
 充満するガスの匂い。耳に届く悲鳴。ここから逃げなくては。

 ――誰か……

 音にならない言葉が唇から零れていく。

 ――ここにいるから。

 だから見つけて。
 救い出して。
 こんなところで人生が終わるなんて、そんな悲しいことはないだろう。



【一話】鮮やかなモノクロ



 久住恭介(くずみきょうすけ)は己が特別な存在であると考えたことはなかった。
 体つきは平均であり、特技もない。
 そこらへんにいる大学生で、色の区別が付けにくい大衆の中の1人。
 異性と青春を謳歌できるほど華やかな外見をしていないし、のめり込める趣味もない。
 他者と違うところを挙げよと言われれば、写真が撮ることを挙げるが、それにしても抜きん出ているわけではない。
 さらに言うと、久住の撮る写真には変なものが写りこむ事が多い。それを怪奇だと囃し立てる学友たちには毎度困り果てている。
 霊能力があるわけではない。平凡なサラリーマンと主婦の息子だ。陰陽師が親戚にいたこともない。
 だからオカルト部に勧誘するのはやめてほしいと常々願っている。
「っ! さっむ」
 秋風が体温を奪うように項を通り過ぎると、久住はコートの胸元をかき集めた。
 たいして温かくならないのはコートが安物だからだと言われたが、金が貯まることのない大学生活。節約して暮らしてなにが悪い。
 つま先に火を灯したとしても、せっかくの1人暮らし。親に見つからない自由な時間のためなら少しくらいは守銭奴にもなろう。
 見上げると空は曇天。遠方に見える黒い雲は雨さえも運んできそうだ。
「まったく、こんなに日わざわざ撮影しなくてもいいのに」
 手を擦り合わせて温めるように息を吐く。
 写真部の部長である神埼から、よい撮影スポットを見つけたと連絡が来たのは朝方のこと。
 気持ちよく寝ていたところを起こされた件については不満を言ってもいいだろうか。
 ふと、久住は己の隣を歩く黒猫を見た。歩調が合っているのか、猫と平行に進んでいく。
 それは偶然でも数分に渡って。そうなると不思議なもので、自分と猫が運命づけられているように感じる。
「君はどこかに行くのか?」
 応えなど返ってこないと知っているが話しかけてみる。と猫は久住を悠然と無視し、小路へと消えていった。
 その様子に、君との運命はここで終わりかと微笑んで視線を戻す。
「ん? ……こんなところに、個展?」
 見慣れない小さな看板が目に留まった。
 いつも通る道なのだがと、しげしげと覗き込む。教授が言っていた、人間は己に興味のない大概の事を記憶せずに生きていると。これもその一つだろう。注視しなければ見えないもの。
「写真の展示か」
 コルクボードには愛らしい文字で『ギャラリー、千葉 見学料は無料です!』と書かれている。
 個人展だろうか。少し剥(は)げた両開き式の木戸は開いており、細い廊下の先には古びたエレベータが1つ。
 興味本位で上階へのボタンを押すと、チンと安っぽい音と共に扉が開いた。
 腕時計を確認する。現在時刻13時14分。集合は現地に14時なので時間には余裕がある。
「ちょっと見てみるか」
 言って久住はエレベータに乗り込んだ。理由などない。
 ゆっくりと閉まる扉が外の景色を奪っていく。ぐんと身体が揺れると上に持ち上げられる感覚がする。随分と緩やかな動きで上階へと向かうらしい。
 築年数が経っている所為もあるだろうが、四方を囲む壁には疵(きず)がやたらと多い。
 その中の一つ、コインで削られた文字に久住は目をとめた。
「あ、い、た、い?」
 歪な風に書かれた逢瀬の願い。恋人へのメッセージだろうか。
 ならばこんな所ではなく、文月に飾られる笹にでも書けばロマンティックになるだろうに。
 チンと、やはり安い音を立ててエレベータがとまる。
 踏み出すと年季の入った木製の扉が出迎えてくれた。
 他にはなにもない。非常階段も。消火器も。窓も。
 誰もいないかもしれないと少し不安になりながらも、手を扉に当て押し開ける。
 軋む音が響く中、古臭い匂いが鼻についた。
 全体的に暗い部屋だ。間接照明しかないせいだろう。小窓は3つあるが、内1つがカーテンで隠されている。
「いらっしゃい。珍しいね、お客さん?」
「いま、やってますか?」
「やってるよ。好きに見てね、他にお客さんもいないから」
 人がいたことに安堵しながら閲覧を訊ねる。
 カウンターにいたのは工具用エプロンを着た女性。セミロングの髪に、少しのたれ目。知的というよりは柔らかい印象だ。
 彼女は猫を模したスリッパを履(は)いている。案外お茶目なのかもしれない。
 そこで久住は、部屋に飾られている写真に色がないことに気がついた。
 アイボリー色の壁にモノトーンな写真が規則的に並んでいる。
「モノクロ写真、ですか」
「若い子はあまり好きじゃないかな?」
「いいえ、見せてもらいます」
 音もない。色もない。白と黒のコントラストが印象的な絵が壁に並んでいる。
 息を吐くと呼吸音すら邪魔な気がして、久住は息をとめた。
 太陽が輝いている場所は強烈に白く、建物は己の存在を隠すかのように黒く染まっている。
 色があって然るべき場所に色がない。その矛盾にひどく惹かれた。
 世には色が溢れていて、人は目を通してそれらを認知する。またそれぞれの色には特定の感情を促進させる効果もあると聞いた事がある。それらが剥ぎ取られた世界。
 飾りつけられたモノすべてをそぎ落とし、ありのままでフレームに収まっている。
 そこにどうしようもなく惹かれる。
 もっと近くで見たいと久住が一歩足を踏み出すと、女性がカウンターから身体を乗り出した。
「なにもないところだけど。お茶くらいなら出せるけど?」
「いえ、お構いなく」
「写真、撮る人?」
「はい、風景画を」
「人は? 嫌い?」
「人は……うまく撮れないので」
 人を撮ると、どうしてもそこにいないモノまで映りこんでしまうから。
 表情を落とした久住に女性も苦笑する。
「そっか。私もね、カラーはうまく撮れないの。色があると駄目みたい」
「……そうなんですか?」
「撮ろうって頑張るんだけど、結局ここに戻ってきちゃって」
「得意分野ということですか?」
「うーん、そういうのじゃないよ。たぶん」
 首を傾げる久住に女性は気にしないでと笑った。
 カラーが上手く撮れない人もいるのだろう。久住が人を上手く撮れないように。
 女性が上手く撮れない原因はなんだろうと考えて首を振る。考えすぎだ。
 出会って数分しか経っていない相手に突っ込んだ話をされても困るだろう。
 久住は視線を写真に戻した。やはり、色のない鮮やかな世界が広がっている。
「綺麗ですね」
「ん?」
「写真」
「ありがとう」
 女性が微笑む。
 それだけでいいと思えた。写真は無理をして撮るものではない。彼女がこの写真らを望んで撮ったのなら、それで十分だ。
 モノクロ写真は撮ったことがなかったが、この期に一度試してみるのもいいかもしれない。
 葉から落ちる瞬間の雫。普通であれば瑞々しい光景が、白と黒の世界だとどこか背徳的だ。
 首を傾けると一角だけ変に黒い写真だらけの場所があった。近づくと乱雑に写真が貼られている。
「これは――」
「ああ、これは……あはは、やだな。外し忘れてたなんて」
 久住についてきた女性は慌てて写真を外しだした。
 写真に収められているのは人々。そして、崩壊した家たち。
 おそらくは、この間に起きた地震のものだろう。写真を片付ける女性の指の隙間から瓦礫などが断片的に見えた。
 あの地震でたくさんの人が死んだ。学友の中にも死んだ人がいたはずだ。葬式に出て、悲しんで、そうしてようやく復興しだした今なのだから。 
 静かな白黒の世界。
 血は黒く映るんだなと久住は胸中で1人ごちた。
 と、ズボンに仕舞った携帯のバイブレーションが、けたたましく出ろとせかしてくる。
「携帯? いいよ、出ても」
「すみません。はい、久住。え? でもまだ時間は……分かりました、今から行きます」
 通話先の相手は用件だけ伝えると返事も聞かず切ってしまった。
 内容は集合場所に今すぐ来いとのこと。
 ツーツーと小さな音が部屋に響いている。
「呼び出し?」
「すみません、待ち合わせ時間はまだなんですが、早く来いって」
「ううん、いいよ。ありがとうね、こんな小さな個展を覗いてくれて」
「いいえ。……あの。また来てもいいですか」
 久住の言葉が意外だったのか、女性は驚いて、しかし嬉しそうに微笑んだ。
「木曜日と土日以外は開いてるよ」
「はい」
 年季の入った扉を押し開き、狭いエレベータに乗る。
 古くて汚いのはさっきと一緒だ。
 けれど。
「あれ? 落書き、消えてる」
 来るときにあった落書きが消えていた。
posted by 日下稔 at 19:00 | Comment(0) | なんちゃって小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2017年02月10日

お友達の家

書いて、途中でとまってしまったもの。
書ききるか分からないので、とりあえず保存用においておこうと思いました!


しーん1

○玄関ホール

 気絶している白川が目を覚ます

白川:う、ううん? え? なに、ここ。あ、綾香さん
森下:うー、ゆらさないでー。吐くー。うぇぇえ
白川:起きてください。ここ、どこですか? なんで僕ら、床で寝てるんですか?

 森下が起きる

森下:うー、もー!! こーちゃん煩い!! 二日酔いで頭痛いんだから
白川:でもここ、絶対に知らない人の家ですよ?
森下:知らない人のぉ? ……なにここ、どこ。てかなんで床で寝てんの、布団は?
白川:玄関ホールに布団を敷いて寝るのは普通じゃないような
森下:大きな屋敷だね。んー? こーちゃん家、改築した?
白川:してません!
森下:じゃここどこ
白川:だから、知らない人の家ですってばー!

 誰かがホール左階段を下りてくる

筒井:よぉ、起きたか森下に晃司、お前らぐっすり寝てたなぁ
森下:筒井くん?

 右階段から葛西が下りてくる

葛西:筒井さん、そちらには誰かいましたか?
筒井:いんや、誰もいねぇな。そっちはどうだった、葛西
葛西:残念ながら誰も。ああ、起きたんですね、白川さん、森下さん
白川:葛西さん。えっと、どういう状況なんでしょうか。僕ら、昨日同窓会で
森下:酒をしこたま呑んで、吐いて、呑んで、吐いて、吐いて、気絶して
白川:吐いたのは綾香さんだけです
森下:こーちゃん煩い
葛西:わたしも同窓会にいたのは覚えているんですが
筒井:この屋敷に来た記憶がとーんとねぇのな。一応聞くが、お前らの家じゃ
白川:ないです
森下:ないよ
筒井:つーことはだ
森下:つーことは!!
筒井:分からん!!
白川:……えっと、家の人は
葛西:探したんですが、見つかりませんでした。と言っても、確認できた範囲は狭いですが
筒井:でかい屋敷だからな。天井には豪華なシャンデリア、アンティーク調な柱時計に、壁の美しい絵画たち。金持ちの匂いがぷんぷだ
森下:ここにいるの、あたしたちだけ?
葛西:あと二人、大喜多さんと原渕さんがいます。まだ屋敷を探索しているんでしょうか
白川:……誰の家でもないんですよね。家人もいない
筒井:たぶんな
森下:じゃあ帰ろうよ。お邪魔しましたって書き置きしてさ
葛西:それがですね、森下さんたちの後ろにある扉なんですが―−開かないんです
森下:えー? じゃあ窓から
筒井:窓には全部、鉄格子がついてるんだなぁ、これが
白川:それじゃまるで、閉じ込められたみたいじゃないですか!
筒井:晃司、みたい、じゃなくて閉じ込められたんだ
白川:なんのためにですか!?
筒井:分からん!
白川:け、携帯で外と連絡を
筒井:ざんねーん、圏外だぴょん
白川:嘘ですよね! あ、僕の携帯は――圏外
森下:あたしもだ

 なにかが階段から降りてくる

葛西:誰か来ました

 なにかが4人の前で止まりお辞儀する

ソフィー:うさ、うさ、うさ。ぺこり! ようこそ当館へ。ボクは当館のマスコット、ソフィーです
筒井:ウサギのぬいぐるみだ
白川:ううう、動いてますよ!!
森下:こーちゃん煩い
ソフィー:あなた達はご主人さまに招かれました。なのでどうぞ、お部屋にご案内します
葛西:ご主人さまとは誰ですか。私たちはここを出て行きたいのですが
ソフィー:うさ? ご主人さまは皆さまが知っている人ですよ。ずーっと昔から知っている人です
葛西:名前は教えてもらえないんですか
ソフィー:お友達なら、覚えていて当然でしょう?
筒井:うーん、それがなぁ
ソフィー:名前も思い出せないのなら、それはお友達じゃないということです。そんな人はこのお屋敷に要りません
筒井:要らない場合はどうなるんだ?
ソフィー:うさ? 必要ない人間は処分です。ご主人さまは繊細ですから、お友達じゃない人は処分です
葛西:処分とは、どのようにするのか聞いてもいいでしょうか
ソフィー:そんなの決まっていますよ! 千切って、小さくして、生ゴミと一緒に――ポイです
筒井:俺らのほかにも人がいるんだが
ソフィー:そちらのお友達にもボクらが挨拶をしに行っています。大丈夫ですよ、お部屋で会えます
白川:ど、どうしましょう。絶対に変ですよ、あのマスコット
森下:下手に刺激しないほうがいい?
葛西:私もそうすべきだと思います
筒井:だな。じゃあ案内してくれよ、ソフィー
ソフィー:はぁい! それではご主人さまのお友達、5名さま、ご案内ー!
葛西:……5人? 待ってください、私たちは全員で6人――
ソフィー:お1人、お友達じゃなかったそうなので――処分しました
posted by 日下稔 at 17:00 | Comment(0) | 台本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2017年02月09日

『異国の少年』 の派生作品です

『異国の少年』
飛べない人は、こちらより (http://cocommu.com/script/00066b15eab5852036a111ed36375b2d)

↑の作品(作:綾瀬桂吾さま)のキャラを使った台本を書かせてもらいました!
なにがあっても怒ってはいけません。

○駅前

 仕事帰り、疲れた女性が駅の改札を通ってくる

女性:あー、疲れた。仕事配分、絶対おかしい。嫌われてるのは分かるけどさ、お局さま、やりすぎにも程があるって。ほかの人は見て見ぬフリだし。あーも、どうしてぺーぺーの私が――

 少年を発見

女性:(見ほれて)……綺麗。え、外国の子?

 少年が気づく

少年:……?
女性:あ

 少年が近づいてくる

少年:なに、お姉さん。僕のことじぃ……っと見て。なんか、僕……変?
女性:あや、見慣れない姿だったからつい
少年:確かにこの国では、僕みたいな見た目の奴は珍しいかもしれないけど
女性:あー、はは。うん、ごめんね。ぶしつけだったね
少年:ぶしつけじゃないけど
女性:ないけど?
少年:あんまり見つめられると……その、恥ずかしいから……やめて…くれない…?
女性:(真顔で)可愛いし
少年:(むっとして)可愛くない
女性:いや、絶対的に可愛いよ。神さまの子だって紹介されたら頷くから
少年:(笑う)なにそれ。人はみな、神の子だよ
女性:残念。私の家、仏教だから
少年:キリストの聖誕祭を祝うのに?
女性:日本人はそういう生き物なの
少年:(笑う)もう、なにそれ
女性:綺麗なうえに可愛いなんて、はぁ。神さま、平等に人を作ってよ
少年:僕、カッコいいって言われたいんだけど
女性:(笑う)可愛いから、ダメ。誰か待ってるの? もういい時間だよ
少年:気にしなくていいよ。お姉さんは仕事帰り? お疲れさま
女性:ありがとう
少年:ぁ――。じゃね

 少年は歩き出す

女性:え、待って。ね、どこに行くの?
少年:お姉さん、暇なんだ
女性:帰ってコンビニ弁当とビール飲むしかないからね
少年:カレシさんは? いないの?
女性:いたら残業なんて投げ捨てて帰ってる。ね、本当にこの時間に1人だと補導されるよ
少年:僕、日本人じゃないし
女性:でも、危ない人に連れ去られる可能性だってあるよ。いきなり知らない人に襲いかかられたり
少年:お姉さんみたいな?
女性:私は! 危険じゃありません!! 

 少年は歩いていってしまう

女性:あ、ねぇって
少年:好奇心旺盛なのは可愛いけど、簡単についてきちゃダメだよ、お姉さん
女性:君がどこに行くのか教えてくれて、納得できれば帰るから
少年:納得できなければ?
女性:ついて行こうかな
少年:(ため息)――ま、いいけど。来るならおいでよ
女性:どこに行くのか教えてくれないの?
少年:ついてくるんでしょ。説明するより見たほうが早い
女性:不安なんだけど
少年:じゃあ帰る?
女性:帰りません
少年:変なお姉さん

○屋敷前

少年:ついたよ。こっち
女性:普通の家、よりは大きいけど、お屋敷? しかもここ、幽霊屋敷で有名な
少年:(少し遠くから)おねーさーん
女性:わ、置いてかないで!
少年:慌てなくても大丈夫だよ。もう置いていかないから
女性:……ねぇ、君さ。もしかして――幽霊?
少年:お姉さんに僕がそう見えるのなら、そうかもね
女性:えー

 玄関扉を開ける

女性:(小声で)お、じゃましまーす。あ、案外普通。ちょっと寒いけど。冷房?
少年:うん、保存状態が悪くなるから
女性:なんの保存? や、やっぱり幽霊!
少年:お姉さん幽霊好きなの? 残念だけど、幽霊は保存してないな
女性:好きじゃないから!
少年:そう? こっち
女性:待って

○廊下

女性:ワインセラーとかってこんな温度だよね。ワイン貯蔵してる?
少年:どうだろう。割れたものならあるかもだけど
女性:割れたワインって、ただの瓶、もしくは壊れた樽だよね
少年:うん、そっちじゃないと価値ないしね
女性:えー。ワインは中身が入ってこそだよ?
少年:そうかな
女性:そうです
少年:……ねぇお姉さん、本当についてくるんだね?
女性:ここまで来て引き返すってのはないかな
少年:そっか。じゃあ開けるね

○部屋

少年:はいどうぞ。ショーケースには触れちゃダメだよ
女性:暗くてなにも見えないんだけど
少年:電気つけるね

 電気がつく

女性:こ、これは!! ――石ころとか、なにかのトロフィー? あと焼けた服に、指輪とか、めがね?
少年:博士のコレクションだよ
女性:博士?
少年:この屋敷の持ち主で、展示会場の主催者
女性:ってことはこれ、展示品? え、でもこれ、どう見てもガラクタ
少年:そうだね。価値なんてないのかもしれない、普通の人には
女性:君には価値があるものなの?
少年:どうだろう。考えたことないな
女性:ふーん。あれ? ね、あのトロフィー欠けてるよ。それになにか汚れて
少年:欠けたり、汚れた常態じゃないと、無価値なんだって
女性:汚れたほうが価値あるって、そんな――え、あの汚れ、どす黒く変色してるけど、まさか
少年:うん? なんの汚れだろうね
女性:じゃあ焼けた服って――あの服を着てた人は、どこかにいる?
少年:魂は我らが主の元に、かな。善行を積んでいればだけど
女性:肉体は?
少年:埋められたんじゃない? 日本人って土に埋めるんでしょ、人を
女性:生きてる人を埋めたりしないよ
少年:変なお姉さん、生きてないから埋められたんだよ
女性:……殺したの?
少年:え? あ、もしかして勘違いしてる? 違うよ、僕らは人を殺したりしてないから
女性:でも、コレクションって全部、死んだ人の原因とか、遺品とかだよね
少年:(笑う)博士がそういうの好きで
女性:笑って言うことかな!?
少年:僕が頼まれてるのは、コレクションになりそうなものを持ち帰ってくること
女性:私はコレクションにならないよ? 生きてるし
少年:生きてる人をショーケースに入れたりしないって。もう、怖がりだね
女性:あ、あはは。そうだよね
少年:だからさ。――頂戴
女性:……なにを?
少年:持ってるよね、お姉さん。ショーケースに飾れるコレクション。そのポケットに
女性:!
少年:大丈夫だよ。警察に言ったりしないし、証拠も隠滅できるよ。なんなら着替えていく? 服も、血の匂いがついてたら博士喜ぶから
女性:……私の所為じゃない、から
少年:人を殺す人って、だいたいがそんなこと言うよね
女性:お局さまが、アイツが悪いの! アイツが私にばかり!
少年:血気立たないで。僕らはただ、ポケットの中身が欲しいだけだから。お姉さんがどんな理由で誰を殺めてきたかとかには興味ないんだ
女性:自分で処分するから
少年:もったいないよ。ね、ここに展示してよ。暇なときに見にこれるし
女性:見て楽しいものじゃない
少年:今はね
女性:……本当に、警察に行かない?
少年:行かないよ。行く理由がないから
女性:…………だったら

 扉が閉まる

○駅前 後日

 仕事帰り、元気な様子で女性が駅の改札を通ってくる

女性:あー、きっかり定時退社。素晴らしい。うーん、スポーツジムにでも行こうかな。あ

 少年を発見 

女性:やっぱり、綺麗
少年:あれ、また会ったね。お姉さん
女性:うん。久しぶり
少年:元気にしてた?
女性:元気だったよ。君は?
少年:僕? さぁ、どうだろう
女性:あの、さ
少年:新しい展示品増えたけど、見に来る?
女性:……増えたの?
少年:増えるよ。当たり前じゃない
女性:そっか、そうだね
少年:見にくる?
女性:暇だし、行こうかな。ビール出たりしない?
少年:しない。館内飲食厳禁だよ
女性:ちぇー

END


。。。異国である、意味とは!!
すみません、異国要素が発揮できずに!!
posted by 日下稔 at 16:19 | Comment(0) | 台本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2017年01月23日

ツイッターのやつ 複数

ゆっくりにも程がある日下です!!


●流星★彡さん


 諸君はカーナビというものを知っているだろうか。
 そうだ、車に装備されているアレだ。
 多種多様な形状をし、機能も充実したそれは日々人間が車で遠出をする際に役立っている。
 まぁ時折不確かな情報をよこして混乱させるのだが。
「くそう、指が反応しない!!」
 タッチパネル式の画面を押すこと既に1分30秒ほど。選択したいボタンの上を指が何度もすり抜ける。
 ここで素直に反応してくれれば可愛げもあるのに、画面はうんともすんとも言わない。
「どうしてこうも、反応しない!」
 強く押したところで反応するはずもないのに、つい力が入ってしまう。知り合いには機械オンチだとか言われるが、けしてそんなことはない、機械がこちらを拒絶しているのだ。
「あーも」
 したいことはただ一つ、目的地の設定だけなのに。
 諦めて座席に背を預ける。 
 行きたいと思えない結婚式場に出向かない理由になるだろうか、これは。
 カーナビが反応しないから出席できなかった。なんて言えば母は激怒することだろう。
 祝いの席に現れない妹に父も呆顔をするに違いない。
 ハンドルを握る。
「行きたいわけないじゃん」
 愛する人が自分ではない誰かと結婚する会場になど。


ただいま発車不可能です!


●山口和将さん


 己の姿を映すほどに磨き上げられた大理石の神殿。その優美な床に散りばめられたのは肉片だった。
 取り囲む神官たちはみな一様に青ざめ、血の気を失った顔で互いを見やっている。
 本当ならば、この場に現れるはずは第一王子の代用品。異世界から招かれる人間。しかしそれは姿を現したと思うがいなや、腹を膨らませ爆死したのだ。
 マルティナ王国第一王子、ルーファスが暗殺されてから3日。秘密裏に替え玉を用意せよとの命により召還の儀を行っていたのだが、失敗に終わった。
 そもそも異世界から人間を喚び起こすのはイニシエの禁術。高位とはいえ寄せ集めの神官たちには荷が重すぎた。
「我らは滅ぶ定めか」
 儀式を見守っていた初老の男が、しわがれた声で呟く。
 隣国との戦争を回避すべく設けられた政略結婚。ルーファスはその任を任されていたのに。
 どのような理由があれ、婚姻が結ばれなければ再び国は戦火へと舞い戻ることだろう。
 初老の男が残念だと頭を下げる。
 そこへ駆け寄る足音が一つ。
「大神官さま、ご報告です。騎士団の見習いに、王子殿下によく似た容貌の少年がいると!」


 替え玉作戦


●柚羽りおさん


 このまま朽ち果ててやろうかと思った。
 それほどまでの衝撃だったのだ。
 鏡に映る己の姿、頭部には見慣れる獣耳のようなモノが見え、ユズハは瞠目した。
 言葉が尽きたわけでもないのに出てこない。
 恐る恐ると触ってみると柔かく温かい。ぴぴぴと動いたりもする。どうやら神経が通っているようで、引っ張ると痛い。
 そんなトンデモな現実を寝起きで体験した絶望はいかほどか。
「くそ、どうしてこんなことに」
 こんな姿をさらすわけにはいかない。
「クサカには絶対に見られないようにしないと」
 『ぷっすー、ダッサ。なんだそれ!』など言われるに違いないのだから。
「とりあえず、隠れるべし」
 こぶしを握る。
 絶対に見つからないようにしなければ。
 せめてこの獣耳が消えるまでは。


MIMI!!


●chirolさん


 愛されていると感じるのは一瞬で、ソレはすぐ彼方へと消えてしまう。
 誰かが言うの愛の言葉をどうすれば信じられるのか。
 言葉は絶対ではない。その場かぎりで効力を失くし無価値となるものも多くある。
 にも拘らず永遠だなどという言葉をなぜ持ち出してくるのか。
 彼らをどうすれば信じられるというのか。
「お姉ちゃんはさ、信じたくないだけじゃない」
 そう言ったのは血のつながらない弟だった。両親の再婚によって無理やり家族とされた間柄の人間。
 愛していると嘯いた輩の一人。彼の愛は信じるに値しない、なぜなら――
「じゃあ、お別れだね」
 彼は明日、この家を出て行くのだから。
 彼を信じることができたのなら、それは考えても仕方のない話。
 結局は誰の愛も信じることができないのだろう。自分はそういう生き物だ。
 そうして愛は手をすり抜けていく。


 零愛(こぼしあい)


●縁茜莉さん


 薄い藤色のクリスタルの中に、彼女はいた。
 中は重力がないのか、少女はフワフワと浮いている。華奢な体、細い手足、この生き物は地上では生きていけないだろう。
 上司より命を受け、クリスタルに閉じ込められた彼女を監視する役割を担っているが、敵が来るはずもない。
 ここは地下の最下層。上層にいる屈強な猛者たちを倒さなければ辿りつけない場所だ。
 ぺたりとクリスタルに手を置くと、驚くほどに冷たかった。
 何年、何十年の時を彼女がこの中で生きてきたのか、ヴェルナーに分かることはなかった。しかしこれほどまでに冷たい中は、さぞ寒いことだろう。
「寒くないかい?」
 問いかけが無意味であることは分かっていた。返答があるはずもない。それでいい。
 返事がないからこそ問いかけたのだ。反応があるはすがなかったのに。
 彼女の目が開いた。

マルクカギナ
posted by 日下稔 at 19:00 | Comment(0) | なんちゃって小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2016年11月30日

冒険譚 ―リラストニア―

 

 慟哭を響かせていた大地が音を失くした。
 それはただ、音がなくなった一瞬で場に居たすべてが屠られたからに過ぎない。
 音を出すモノが居ないのであれば、音が消えるのは当然。
 光りの閃光が空より一筋。場に居た者が見た最期の光景はソレだろう。
 ともすれば導きの光りにも見える煌きに己が身が砕かれ消滅させられるとは思いもしなかったはずだ。
 女性はそれらを眼下にとらえながら翡翠色の瞳を揺らしていた。
「目標の殲滅を確認。帰還するぞ」
「そーだね。帰りが遅いとクルルバード《飛竜騎士団》たちも騒ぎ出すし」
「あいつらが騒ぐのは、お前が勝手にクルル《竜》を使ったからだろう」
「あー、僕だけ悪者? そっちだってクルルに乗ってるんだから同罪だよ! ねぇ?」
 少年が屈託なく話しかけてくるそれに彼女は笑い返す。
「そうだな。私たちは同罪だ」
「ほぉらあ!」
 クルルに乗りながら談笑する彼らは、いままさに一つの国を滅ぼしたとは思えない陽気さだ。
 彼女は拳を握る、瞳に意志を灯して。
 こいつらは必ず、この手で殺すのだと。
 そして世界を平等に――

END


 己の神のため強国に潜入している女性をイメージしています!
 己の神は平等を愛している。だから強すぎる国も弱すぎる国も滅ぼしていきます。
 やることが極端ですが、彼女自身人間ではないので、人の考えはちょっと分かってないです。
 RPGにすると主人公パーティに途中から参入して、主人公らの選択肢次第で死ぬことがあるキャラかと!
 ルートによってはラスボスでしょうかね!!

 
posted by 日下稔 at 11:48 | Comment(0) | なんちゃって小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする